脳の血管が細くなり脳出血や脳梗塞を引き起こす「モヤモヤ病」を発症する可能性が高まる遺伝子を京都大などのチームが特定し、20日付の米科学誌プロスワン電子版に発表した。チームは今後、予防や治療に役立てられるとしている。
モヤモヤ病は脳に異常な血管網ができる難病。患者は東アジアが中心で日本では約1万人に1人の頻度で発症、血管形成の異常で起こるという。
チームは日本と韓国、中国の患者251人と健常者751人のDNAを比較。日本人で約9割、韓国人で約8割、中国人で約2割の患者で「RNF213」という遺伝子に変異があった。
神戸市立医療センター中央市民病院は20日、腹部大動脈瘤(りゅう)切迫破裂の緊急手術を受けた80代の男性を集中治療室(ICU)に移動する際、人工呼吸器に酸素ボンベと間違えて二酸化炭素ボンベを接続し、男性が一時、心停止となる医療事故があったと発表した。同病院は旧施設から移転、今月4日に救急医療を強化した新施設として開業したばかりだった。
男性は13日夕に救急外来を受診し、緊急入院。同午後8時~14日午前0時25分まで手術を受けた後、手術室からICUに移動する際に、手動の人工呼吸器に麻酔科医が酸素ボンベと間違えて二酸化炭素のボンベを接続したという。男性は一時、心停止状態となり、現在も心肺補助装置で治療する重篤な状態。同病院の北徹院長は「人為的なミスで、今後外部識者を含めた医療事故調査委員会で原因を究明したい」と話していた。
末期がん患者のケアや治療を目的に、高松市の総合病院「高松平和病院」は、同市内の医療機関で初めてホスピス緩和ケア病棟を設置した。同病院は「がん患者のニーズに応えたい」としている。
同病棟の病床数は21。すべて個室で、付き添いの家族も宿泊できるように配慮したほか、専任の医師1人と看護師17人を配属する。
NPO法人日本ホスピス緩和ケア協会によると、香川県のホスピス緩和ケア病棟は5月15日現在、1病院12病床で全国47都道府県で最少となっており、整備が急務となっている。
山口県宇部市の医療法人「聖比留会」が運営する病院で狭心症の治療をした男性=当時(69)=が死亡したのは、医師のミスで出血したのに、手術をしないなど治療が不十分だったのが原因として、遺族が法人に計約4800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、山口地裁(山本善彦裁判長)は13日、計990万円の支払いを命じた。
山本裁判長は、手術しなかったことと死亡の因果関係は認めなかったが「大量の出血を示す数値が出ていたのに、開腹手術などを検討せず、男性は治療を受ける機会を奪われた」などと病院側の責任を一部認めた。
判決によると、男性は平成14年5月、狭心症の治療中に、医療器具が動脈に突き刺さったのが原因で出血。医師は画像で血腫に気付いたが、手術などの外科的処置をせず、男性は7月に別の病院に転院し死亡した。法人は「判決を見ていないので、コメントできない」としている。
マウスの幹細胞から作った歯のもとになる「種」を、完成された歯になるまで育ててから口内に移植し、かんだり痛みを伝えたりといった天然の歯と同じ働きを持たせることに、東京理科大の辻孝教授と大島正充助教らのチームが成功した。米科学誌に12日発表した。人への応用に課題は残るが、チームは「新しい歯科再生治療の考え方を示せた」としている。チームは、マウスの胎児にある「歯胚」に含まれる上皮細胞と間葉細胞を集めて作った歯の種を、マウスの腎臓に移植。50日後には、物がかめる程度の硬さがある再生歯と、あごの「歯槽骨」、その間でクッションのように働く「歯根膜」を含んだ塊に育った。
(共同)
ある場所で怖い体験をすると、その場所を再び訪れた時にそのことが思い出される―。そんな恐怖体験の記憶がラットの脳にある海馬という部分でつくられる仕組みを、横浜市立大の高橋琢哉教授らのチームが明らかにし、11日付の米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
こうした記憶が刻まれた「心の傷」に対する薬を開発する糸口になると期待される。
高橋教授らは、明るい部屋と暗い部屋に分かれ、暗い部屋に入ると電気ショックが与えられる装置にラットを入れた。
ラットは電気ショックを嫌って暗い部屋に行かなくなるが、この時、脳の神経細胞同士の情報のやりとりをするシナプスを調べた。
京都大は11日、山中伸弥教授が世界で初めて開発した、さまざまな組織や臓器の細胞になる能力があるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製技術について、欧州で特許を取得したと発表した。欧州特許条約加盟国のうち、英国、ドイツ、フランスなど17カ国で特許権の登録手続きを進め、12月には登録される見通し。米国でも特許を得られる公算が大きく、世界のiPS関連の特許は京大がほぼ独占する形となりそうだ。山中教授は「実用化に一歩近づいた」としている。 今回、特許が認められたのは、動物の細胞に3、4種類の遺伝子や、タンパク質を注入するなどの、山中教授が開発したiPS細胞作製の基本技術。京大が平成18(2006)年12月に出願し、欧州特許庁の審査を経て、7日付で特許成立の決定が通知された。特許権が維持される期間は出願日から20年間という。 これまでに京大は、日本でiPS細胞の作製方法に関する特許3件を保有。これらはすべて、注入する遺伝子を限定していたが、今回の特許は遺伝子を限定せず、性質や機能が似ている遺伝子であればすべて「ファミリー」とみなして特許権の範囲に含まれる。また遺伝子そのものだけでなく、遺伝子から生まれるタンパク質を注入して作製する方法も含まれるなど、広範囲に特許が認められた。 山中教授が開発した技術は日本のほか、南アフリカ、シンガポール、ロシアで特許を取得しているが、欧州は初。1月、iPS作製技術が競合する特許を持つ米ベンチャー企業から、無償で米国での権利譲渡を受けることで合意しており、最大のライバル企業の協力も得られたことで、米国でも特許成立の公算が高まっている。 記者会見で山中教授は「京大という公共機関が、欧州で基本的な特許を取れた意義は大きい」と強調。「特定の企業が、重要な特許を独占して技術を囲いこむのを避けたかった。(京大が)特許を取れたことで、数多くのヨーロッパの研究者が、安心して研究する土台を作ることができた」と話した。
「正直、ほっとした」。京都大の山中伸弥教授は11日、記者会見でiPS細胞作製技術の欧州特許取得の感想をこう述べ、笑顔を見せた。平成20年の国内特許取得から約3年。特許成立に至る過程は決して平坦(へいたん)ではなかっただけに、思わず浮かんだ笑みだった。 海外では、国によって特許のシステムが違う。交渉の言語も日本語ではない。会見の冒頭で山中教授は「日本国内の特許に比べると苦労は何十倍も大きく、決定の一報を聞くまで安心できなかった」と、これまでの道のりを振り返った。 京大が20年9月に初めて国内で作製技術に関する特許を取得した後、類似技術を開発した米国など海外でも特許申請の動きが活発化。会見に同席した京大の松本紘総長は「(特許成立の連絡が)いつ来るかわからない状態で努力してきたプレッシャーは大きかったと思う」と山中教授のこれまでの苦労をねぎらった。 今後の目標は、再生医療と創薬の分野のいずれも最前線にある米国での特許取得だ。山中教授は「アメリカは再生医療ビジネスのサイズも大きい。できることはすべてやっているが、アメリカ特許庁のレフェリーの判断を待つしかない」とあくまで冷静だ。「iPS技術は日進月歩で進んでいるが、この技術が今でも基盤であることは間違いない。私たち自身も次々と新しい特許の成立を目指したい」と今後の抱負を語った。【写真説明】iPS技術の欧州特許について会見する京大の山中伸弥教授(右)ら=11日、京都市左京区(安元雄太撮影)
京都大は出願から約3年を経て、数多くの研究者を抱え市場規模も大きい欧州におけるiPS細胞の、作製技術の特許取得という高い「壁」をようやく越えた。iPSの特許は、京大の山中伸弥教授が日本で取得して以降、類似技術を開発した米国など海外で特許申請が相次ぎ、iPS技術の特許権が“荒らされる”ことへの懸念も出ていた。 だが京大は、iPS技術が競合している米ベンチャー企業の保有する、英国や米国で成立した特許を含む世界各国で出願済みの約30件の製造技術に関する特許などについて交渉を重ね、今年1月に無償譲渡を受けることに成功し、最大のライバル企業との係争を回避。また欧州の特許事務所の意見を取り入れながら、現地の法律を踏まえて出願書類の内容を丁寧に検討。その上で、地道に欧州特許庁とも交渉を重ねてきた。 欧州特許の成立は、特許の出願や登録に必要な、国からの多額の資金援助があったからこそできたことでもある。11日の会見で山中教授は「大学が、国の支援を受けながら一体になることができた」と分析した。今後も新技術について、特許を成立させていくためには、大学関係者が一枚岩になるだけではなく国の継続的な支援も必要不可欠だ。 京大の特許成立により、欧州で特定企業が特許を悪用し法外な権利料を得る事態に至る懸念も回避された。最大の市場である米国での特許も成立の公算が大きく、これで再生医療や創薬の分野でiPS技術の実用化に弾みがつきそうだ。
欧州の特許制度 欧州特許条約加盟国(現在38カ国)では、欧州特許庁に出願する方法と、各国に出願する方法がある。欧州特許庁で特許が認められると、特許権を有効にする国を選択できるが、国ごとに特許の登録料が発生するため、通常は必要な国だけで登録することになる。複数の国で特許権を得たい場合、欧州特許庁に出願すると審査が1回で済む。だが、例えばドイツならドイツ1カ国だけで特許権を得たければ、直接、ドイツ特許庁に出願した方が出願料は安く抑えられる。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)などが培養の過程で、さまざまな組織の細胞などになる「万能性」を維持するのに、免疫に関する作用で知られるタンパク質の一種が関わっていることを、理化学研究所がマウスの細胞を使って発見し、11日発表した。
「CCL2」というこのタンパク質により、マウスよりも培養が難しい人の万能細胞が培養しやすくなる可能性があるという。
万能性の維持にはこれまで、培養の際の下敷きとなる「フィーダー細胞」が分泌する「LIF」というタンパク質の関与しか知られていなかった。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)などが培養の過程で、さまざまな組織の細胞などになる「万能性」を維持するのに、免疫に関する作用で知られるタンパク質の一種が関わっていることを、理化学研究所がマウスの細胞を使って発見し、11日発表した。
「CCL2」というこのタンパク質により、マウスよりも培養が難しい人の万能細胞が培養しやすくなる可能性があるという。
万能性の維持にはこれまで、培養の際の下敷きとなる「フィーダー細胞」が分泌する「LIF」というタンパク質の関与しか知られていなかった。
「ピピピ」と小鳥がさえずるように鳴くマウスを大阪大(大阪府吹田市)のチームが遺伝子操作でつくり出し、「シンギング(歌う)マウス」と命名した。
チームの内村有邦特任助教は「新しい鳴き声が周囲に与える影響を調べれば、哺乳類の言語進化やコミュニケーションの研究につながるかもしれない」としている。
シンギングマウスの飼育ケースを明るい場所に移すと、高く小刻みな「ピピピ」という鳴き声が響いた。
チームは、突然変異を起こしやすいよう遺伝子操作したマウス同士を掛け合わせる実験中に、シンギングマウス1匹を偶然発見。鳴き声は8世代以上、子孫に引き継がれた。
(共同)